オオヤマツミは山を司る神様がである。
イザナキとイザナミの間に生まれ、娘にイワナガヒメとコノハナサクヤヒメがいるが、コノハナサクヤヒメが天孫・ニニギと結ばれ、その二人の子孫が後の神武天皇である。
神名の「ツ」は助詞の「の」、「ミ」は「霊」を意味する。その名の通り「大いなる山の神霊」である。
山は水を蓄え、ろ過する水源であることから、水や田の神としても信仰される。
また酒造りに名水が不可欠なことから、酒造の祖神・酒解神としても知られる。
オオヤマツミはイザナキとイザナミの間に生まれた。
オオヤマツミは、野の神・カヤノヒメと結婚し、二神の間には土の神(アメノサヅチ・クニノサヅチ)、霧の神(アメノサギリ・クニノサギリ)、谷の神(アメノクラト・クニノクラト)、峠の神(オオトマトヒコ・オオトマトヒメ)の4種類八柱の神々を生んだ。
オオヤマツミの子どもは記紀神話に多く登場する。下記に記述する。
例えば、スサノオと結婚したクシナダヒメの両親であるアシナヅチ・テナヅチの夫婦神、クシナダヒメの次にスサノオと結婚したカムオオイチヒメがいる。
スサノオとカムオオイチヒメの間には、その年の実りを司る穀物神である大年神と、稲の神霊であるウカノミタマが誕生している。
スサノオは人々を苦しめたヤマタノオロチを退治する神話で知られるが、これは川の氾濫を治めたことを象徴しているとする説がある。
水をもたらすオオヤマツミの子孫と治水を行ったスサノオとの間に生まれた子が穀物の神となっているのである。
このほか、オオヤマツミの子には、天孫・ホノニニギと結婚する山の花の神・コノハナノサクヤヒメとその姉である岩の神・イワナガヒメなどがいる。
初代・神武天皇は、ニニギ・コノハナサクヤヒメの子孫とされている。つまり、オオヤマツミは天皇家の祖先という事にもなる。
オオヤマツミを祀る大山祇社や三島社の総本社が、愛媛県今治市の大山祇神社で、このほか伊豆国一宮の三嶋大社、神奈川県の大山阿夫利神社などを本社とする各地の神社で祀られている。
また、軍艦島の端島神社も金刀比羅宮とともにオオヤマツミを合祀していた。
伊豆に流されていた源頼朝が三嶋大社(三島大明神)を篤く信仰したことから武人の守護神となり、源氏をはじめ多くの武家に崇敬されるようになった。
そうした縁か大山祇神社には武将たちから大量の武具、刀剣類が奉納され、現在も神宝、文化財として保管されている。