イザナギとイザナミ

イザナギとイザナミ

イザナギとイザナミは日本神話に登場する夫婦の神である。
イザナギが男神、イザナミが女神で、この二神によって日本列島が生み出されたとされる(国産み)。

イザナギとイザナミ

イザナギとイザナミ

地上に降り立った最初の夫婦神

別天津神に続いて、大地を象徴する神々や、人間の生活に関わる男女一対の神々が続々と出現する。
ここまでの神々を「神世七代(かみのよななよ)」といい、その最後の夫婦神として現れたのが、イザナギとイザナミだ。

日本列島が形作られる

造化の三神は、イザナギ・イザナミに大地を完成させる事を命じる。
そして、両神は与えられた天沼矛(あめのぬぼこ)で、まだドロドロの状態だった海をかき回し、オノゴロ島を作ると、そこに降り立った。
そして、島で夫婦の誓いを結び、まず淡路島を、それから次々に日本列島を形作る大小の島を生み出した

天瓊を以て滄海を探るの図

天瓊を以て滄海を探るの図(小林永濯・画:明治時代)
二人は天の橋に立っており、矛で混沌をかき混ぜて島(日本)を作っている

森羅万象の神々を産んだイザナミが命を落とす

国を生み終えた二神は続いて山、石、木、海、水、風、野など、森羅万象の神々を30以上を生んでいく。
しかし、イザナミはその最後に火の神「カグツチ」を出産、大やけどを負い、命を落としてしまう。
これが日本神話に現れる最初の「死」で、イザナミのモノと伝えられる墓が出雲や熊野に伝承されている。
イザナギがイザナミの遺体にすがって泣いていると、彼の涙からナキサワメ(泣沢女神)が生まれた。
その後イザナギはカグツチを殺し(その血や死体からも神が生まれる)、出雲と伯伎の国境の比婆山に埋葬した。

変わり果てた姿のイザナミ

突然の別れを受け止め切れなかったイザナギは、最愛の妻を再び地上に連れ帰ろうと死者の国(黄泉国)へと向かう。
ところがそこで出会ったイザナミは既に腐敗しており、八雷神に囲まれ、変わり果てた姿となっていた。
イザナギは慌てて地上を目指して逃げ出す。
辱められたイザナミは黄泉の軍団(八雷神、黄泉醜女など)を駆使して夫・イザナギを引き留めようとする。
イザナギは、黄泉の境に生えていた桃の木の実(意富加牟豆美命)を投げながら逃げきった。

イザナギとイザナミによって、人の「寿命」が生まれた

両神は生と死と世界の境である黄泉比良坂(よもつひらさか)を塞ぐ巨石を挟んで対峙する。
イザナミは「この先、毎日千人の民を殺す」と呪い、イザナギは「ならば私は千五百人産ませよう」と返した。
これにより、人間は生まれる数の方が多くなり、人口を増やせるようになったという。

イザナギの終焉の地

この後、イザナギが死の国の穢れを落とす為に行った禊から生まれたのが、アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三柱の神であった。
尊い子を得たと喜んだイザナギは三神にこの世の刀剣を譲ると、幽宮(かくりのみや)を建てて移り住んだという。
このイザナギの「隠居御殿」が淡路島の伊弉諾神宮のはじまりで、淡路一宮、通称「一宮さん」として親しまれてきた同社では、夫婦神の神徳に肖った金婚、銀婚の記念式なども行われている。
境内には日本の株が一本になった夫婦大楠という巨樹もあり、夫婦円満の神木として信仰されている。

夫婦大楠

夫婦大楠


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