アマテラス

天照大御神

アマテラスオオミカミ(天照大御神:以下アマテラス)は、日本神話における女神。
皇室の祖神で、死者の国から帰ったイザナギの禊によって誕生した三柱の神々の一柱。
伊勢神宮で祀られている。

最高神となったイザナギの子神

日本の神話は様々な神々が活躍する多神教の世界で、一概に神々を上下関係に位置づける事が出来ないが、アマテラスは高天原の中心となる神で、極めて尊い神といえる。
アマテラスは誕生の瞬間から特別な神だった。
死者の世界から地上に戻ったイザナギが死の穢れを落とす禊を行った時に生まれたのがアマテラス、ツクヨミ、スサノオの三柱の神である。
イザナギはこの子たちをみて「多くの神を生み出して来た最後になって、最も尊い子を得る事が出来た」と大いに喜び、生まれたばかりの子たちに世界(日本)の統治権を譲り渡して引退してしまった。

高天原の統治権を持つアマテラス

イザナギは自分の持っていた統治権を三神に分割して譲っている。
末の弟スサノオには海原の世界を、ツクヨミには夜の世界を、そしてアマテラスには首に掛けていた玉飾りと供に、天上の神々の世界・高天原の統治権を移譲した。

弟スサノオとの確執

海原を委任された弟のスサノオは、イザナミのいる根の国に行きたいと言って泣き続けたためイザナギによって追放された。
スサノオは根の国へ行く前にアマテラスに会おうと高天原に上ったが、アマテラスはスサノオが高天原を奪いに来たものと思い、武装して待ち受ける。
スサノオは潔白を証明するために誓約をし、アマテラスから五柱の男神、スサノオから三柱の女神が生まれ、スサノオは勝利を宣言する。

世界が真っ暗になった岩戸隠れ

自身の勝利に気を良くしたスサノオは高天原で乱暴を働き、その結果天照大神は天岩戸に隠れてしまった。
世の中は闇になり、様々な禍が発生した。
思兼神と天児屋根命など八百万の神々はアマテラスを岩戸から出す事に成功し、スサノオは高天原から追放された。

葦原中国(日本列島)の平定

葦原中国に子のアメノオシホミミを降臨させる事にし、天つ神を派遣した。
葦原中国が平定され、アマテラスは孫のニニギを降臨させた。

三種の神器を祀る全国の神社の本宗

天を照らす」という通り、アマテラスは太陽を神格化した神だ。
天上界をまとめる最高神となったアマテラスは、孫のニニギを地上の統治に送り出すとき、子孫の神武天皇が危機に陥った時など、神話の要所要所で重大な決断を下し、助け導く存在であった。

八咫鏡

ニニギが地上に下るとき、アマテラスは一枚の神鏡を持たせて、これを自分と等しく考えて大切に祀るよう指示を与えている。
この鏡が後に三種の神器でも最も大切な宝物である八咫鏡となる。

伊勢の神宮

地上にもたらされた八咫鏡は長い間歴代の天皇の側近くに祀られていたが、十代崇神天皇は、鏡の霊威があまりに畏れ多いとして居所とは離して祀る事を決める。
そしてアマテラスを祀るに相応しい場所として選び抜かれたのが、伊勢の地であり、そこに創建されたのが伊勢の神宮(通称、伊勢神宮)である。
伊勢の神宮は現在、全国の神社の本宗として仰がれ、神棚にお札を祀る時にも中央には必ず伊勢の神宮のお神札(おふだ)・神宮大麻を配する事になっている。
また、ただ「神宮」といえば伊勢の神宮の事を指す事からも、伊勢の神宮が神社界で唯一無二の特別な存在である事が分かる。

式年遷宮

大小合わせて125もの神社によって構成されている伊勢の神宮、1年365日、神事が行われない日はない。
神宮で最も有名な神事といえば、20年に一度、内宮、外宮全ての社殿を建て替える式年遷宮だ。
41代持統天皇の時代から1200年以上も続く遷宮によって、神宮は常に新しく清浄な状態を維持する事が出来、文化的には古くから続く伝統技術が後世に継承されていくという利点もあるとされる。


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