花と日本の歴史

花の歴史

花は魅力的な姿をしているため、それを鑑賞することは日本は勿論、世界で古くからおこなわれてきた。
世界各地、古今東西の遺跡や壁画、紋章などにおいても、花の絵柄は普遍的に見かけられるもののひとつである。
発掘された時、ツタンカーメンのミイラに花束が供えられていたのは有名な話である。

花と日本の歴史

日本の固有種

日本で古来から親しまれて来た花の代表例としては、ウメ、サクラ、ツツジ、フジ、スイレン、ハナショウブ、アジサイ、ユリ、ハギ、ツバキなどがある。
ユリなども日本国内で自生しており、『古事記』にも「神武天皇が百合の花を摘んでいる娘に惚れて嫁にした」という記述があります。(このユリはササユリと思われます)
以外に思われるかもしれないがバラも日本国内に自生種が多く存在し、『万葉集』にもバラを詠んだ歌が残っている。
他、アジサイやハナショウブ、花ではないがススキなどの「茅(カヤ)」と呼ばれる草も『万葉集』で詠まれている。

ツバキの花

ツバキの花

昔の「花見」はウメだった

現代では「花見」といえばサクラを指すが、奈良時代頃までは、花の定番はウメであった。
日本では、奈良時代から平安時代初期までは中国文化の影響を強く受けており、中国で重宝されていたウメを重んじていたようだ。
盛大なサクラの魅力に人々が気付いたのは平安時代頃からであった。

桜

栽培の歴史

詳細は不明だが、花の栽培は平安時代頃には始まっていたと見られ、特に栽培が盛んになったのは江戸時代である。
現在見られる日本の固有種は、大半が江戸時代に作出された園芸品種である。
ハナショウブやツツジ、ツバキなどの園芸品種が沢山誕生した。

クルメツツジ

クルメツツジ

定番の外来種

日本の歴史上、長く親しまれてきた花の定番だが、実は日本の固有種ではないモノも多く在る。
例えば、キク、ボタン、そしてヒガンバナやスイセンなどだ。
多くのモノは中国から入って来ており、それらが栽培、もしくは日本に帰化したモノが大半である。
アブラナなど食用・栽培用として長く親しまれて来たモノも、実は海外(西アジアから北ヨーロッパ)から渡来してきたモノである。

ヒガンバナ(彼岸花)

ヒガンバナ(彼岸花)

日本に大量に外来種が入って来たのは開国後、明治期に入ってからの事。
コスモスやヒマワリなどの良く知られる外来種も、比較的、近年日本に入って来たモノで、日本人との関わりは決して長くはない。

文化

花は美しいが儚いモノ

花は気高く美しく、しかし美しくいられる時は一時で、儚いモノ。
花が美しく咲く時間はとても短く、その枯れていく様子を、モノの哀れなどといった無常観や四季の変化の下でその儚さが愛でられてきた。
短い命であるからこそ、束の間の栄華・華やかさが美しく感じられるという事である。
これは平家(伊勢平氏)栄華とその後の没落を描いた古典文学『平家物語』などにも見てとることができる。
『古事記』では天孫ニニギが美しい花の姫しか娶らなかった事を、「花の様に儚い寿命となる」などと表現している。

自然信仰

また、花は古来よりアニミズム(自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという信仰)の対象となっている。
万葉集では頭に花を飾り、花の持つ霊力を我が身のものとする挿頭花(かざし)の風習が歌われている。
また、平安時代には現在今宮神社で行われるやすらい祭のように、花の霊が及ぼす災いを鎮める鎮花祭が盛んに行われた。

サザンカ

原種のサザンカ
花弁は白で、一重咲きの質素な花

花を贈る習慣

平民が花を贈りあう行為が根付くのはかなりの時間が掛かった。
その原因として、天皇が公卿達に花を下賜する際、天皇陛下自らが公卿の冠に花を挿し与えたと云われ、一般の人々には「花」は恐れ多い物と考えられるようになった為だ。
「源氏物語」によると男女が愛の告白を行う際に花を贈るなどの習慣があったようで、平安時代ごろに一般の人々も花と接するようになったと思われる。
花の種類によってそれぞれに意味を持たせることもよくおこなわれ、日本では葬式にキクの花というような定番がある。
また、花言葉というのもこのようなもののひとつである。

菊

生け花

日本では、平安時代には仏教とともに花を供えたり、花を挿す習慣があった。
生け花の始まりで、生け花の道を追求したものを華道という。
日本の華道は高度に発達したもので、切り花を使う理由に、見かけの美しさ以外に、その香りを重視する場合もある。
華道は室町時代の中期に確立した。

日本のフラワーデザインの始まり

日本にフラワーデザインが伝わったのは、日本にとどまったアメリカ人によるものであった。
1967年には日本フラワーデザイナー協会(NFD)が設立され、資格試験はアメリカ式のもので行われた。
現在のヨーロッパの方式になったのは、1981年、イギリスとの国際交流が始まってからの事。

料理

花を食用とすることは、世界中で古くから行われてきた。
花を食用とする場合はほとんどは野菜に分類され、花菜と通称される。

日本では食用花としては、キク、ナノハナ、シュンラン、フキノトウなどが用いられてきた。
一方、欧米のエディブル・フラワーとしてナスタチウム、コーンフラワー、バラ、パンジー、キンセンカ、スイートピー、キンギョソウなどが挙げられる。
伝統的な日本料理においては、盛りつけの技法としてアジサイの花などをあしらうことがある。

直接的な食用のほか、虫媒花が虫をおびき寄せるために分泌する花の蜜はミツバチによって採集され、巣の中で蜂蜜へと変化する。
蜂蜜は人類最古の甘味料とも呼ばれ、現代においても甘味料として重要な地位を占めている。
代表的な蜜源植物としては、日本ではレンゲソウやアカシアなどが挙げられる。


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