オオクニヌシ(大国主)

優しき神・オオクニヌシ(大国主)

オオクニヌシ(大国主)は国津神(国土を治める土着の神(地神))と呼ばれる葦原中国(日本列島)の神である。
スサノオが降り立った地上世界は、その子孫であるオオクニヌシによって開拓された。

死と再生を繰り返した英雄

アマテラスの統治する高天原に対して、地上の国土を葦原中国という。
その偉大な統治者として登場するのがオオクニヌシ、大いなる国の主人という名を持った神だ。
スサノオの子孫にあたるオオクニヌシは、若い頃から優しい心と知恵を持った神だった。
しかし、その為に、八十神(やそがみ)と呼ばれた数多くの兄たちから疎まれる事もあった。

美しい女神のヤガミヒメと結ばれる

八十神たちが美しい女神のヤガミヒメに求婚する為に因幡に旅をしたときには、末弟のオオクニヌシは荷物持ち役を押し付けられて一人後から付いていくという酷い扱いを受けている。
ところがヤガミヒメは、多くの兄たちを差し置いて最後に到着したオオクニヌシを婿に選んだのである。

因幡の白兎

オオクニヌシが旅の途中、兄たちに騙されて辛い思いをしている白兎を助けた事がヤガミヒメの知るところとなり、その人柄が伝わっていたのだ。
これが「大きな袋を肩に掛け」の唱歌でも有名な、因幡の白兎の物語である。

兄の嫉妬から逃れる為、スサノオの下へ

しかし八十神は出来の良い弟への嫉妬に駆られて、山から焼けた大岩を落としてオオクニヌシを焼き殺してしまう。
母の女神たちの助力を得てどうにか復活したオオクニヌシだが、兄たちは再び弟を罠に掛けて殺してしまう。
二度目の死もどうにか復活を果たすが、しつこく命を狙う兄たちから逃れる為、オオクニヌシはスサノオの治める地下世界・根の堅洲国に暫く身を潜める事になる。

地上の統治者として国造りを行う

スサノオの試練

オオクニヌシはここでスサノオの娘スセリビメに出会い、お互いに一目で恋に落ちてしまう。
出会った瞬間に結婚を言い交すほど熱烈な恋だったが、スサノオも簡単には認めなかった。
蛇責め、蜂責め、火責めなど、オオクニヌシを試す為に様々な苦難を与えるのである。

スサノオはスセリビメと駆け落ち

スセリビメに助けられながら全ての課題を切り抜けたオオクニヌシは、スサノオの隙を見てスセリビメを背負い、神宝を手に持って地上世界に駆け落ちしてしまう。

オオクニヌシとスセリビメの想像図 マンガでわかるシリーズ 古事記 サンエイムック 根の国の試練 市川智茂

オオクニヌシとスセリビメの想像図(マンガでわかるシリーズ Vol.2 古事記 サンエイムック 03 根の国の試練 市川智茂より)

地上の統治者となったオオクニヌシ

スサノオも渋々とこの結婚を承諾すると、オオクニヌシを地上の統治者と認める祝福の言葉を与えた。
地上に戻ったオオクニヌシは、スサノオの神宝を武器に兄神たちを服従させ、出雲に新しい国を建てる。
そして知恵の神スクナヒコナたちと協力して、葦原中国を美しく立派な国土へと発展させるのである。

日本最大の建築物だった出雲大社

48メートルもあった出雲大社

出雲大社は天孫ニニギに国を譲った後にオオクニヌシが鎮まった神社で、現在の社殿は高さ約24メートルと神社としては最も大きい。
だが古代の社殿は奈良の大仏殿よりも大きい約48メートル(一説には100メートル近かったとも)もあり、日本一の高さを誇る壮大な物だったと伝えられる。
近年この伝説を裏付けるような巨大な柱の遺構が発掘された事で、巨大社殿実在の信憑性は益々高まっている。

出雲では十月の事を「神在月」と呼ぶ

出雲では十月の事を神無月(かんなづき)ではなく「神在月(かみありづき)」と呼び、出雲大社に日本中から神々が集合して人間たちの縁組の相談をするという。
出雲は神々が集う日本屈指の聖地として信仰されている。


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