神在祭

神在祭〜全国の神々が出雲に集結

7日間にわたって神々が縁結びの会議を行う

出雲地方では10月を神在月と呼ぶ。全国の神様が島根県の出雲大社に集まり縁結びの会議を行うとされ、神が在る月だから神在月だ。旧暦10月10日から17日まで神事が行われる。全国では10月のことを神無月というが、これは逆に、全国の神々が出雲に集まることで、各地域では神様がいなくなるため神無月だ。

目次

国譲りの場、稲佐の浜より神々が来訪

10月は神無月、全国の神様が出雲に集結

10月のことを神無月というが、これは全国の神様が島根県の出雲大社に集まり縁結びの会議を行うとされるからである。

出雲では神在月と呼ぶ

そのため、出雲地方では10月を神在月と呼ぶ。この神在月の旧暦10月10日から17日まで神事が行われる。

海から訪れる神々を出迎える神事

神在祭の前夜の旧暦10月10日、国譲りが行われたと伝わる稲佐の浜では、神々をお迎えする神迎神事が行われる。
海からやってくる全国の神々を出迎える神事である。
かつては神在月に出雲大社の近くの浜に打ち上げられたウミヘビが、龍蛇神として出雲大社に奉納された。
現在も、神在月に行われる神迎神事では、神々の先導役となる龍蛇神が安置されて祭祀が執り行われる。

神迎神事〜出雲大社で神在祭

稲佐の浜に御神火が焚かれ神々を迎える

夕刻7時、まず稲佐の浜に御神火が焚かれる。斎場にはしめ縄が張られ、神々が憑りつく神籬が2本立てられる。 そして、炎に照らされる中、神々を迎える神事が行われる。
神事が終わると、龍蛇神が先導となり、高張提灯が並び、浜から出雲大社への道を参拝者とともに神霊が宿った神籬が神幸する。
この稲佐の浜と出雲大社を結ぶ道は、神迎の道と呼ばれる。

出雲大社で7日間「神在祭」

出雲大社に到着した神々、すなわち2本の神籬は、神々の宿泊所である東西の十九社にそれぞれ鎮まる。
そして、翌旧暦10月11日から17日までの7日間、出雲大社において「神在祭」が行われる。

龍蛇神〜豊作・豊漁・家門繁栄のご神徳

神々を先導する龍蛇神は、豊作・豊漁・家門繁栄のご神徳があるとされ、神在祭期間中には八足門内廻廊に龍蛇神が祀られ、一般参拝客が参拝できる。
また神迎祭後には特別拝礼ができる。

神議りにあわせて縁結大祭

旧暦10月15日と17日には、神議り※が行われる神在祭中の日に合わせて、縁結大祭が行われる。
大国主神をはじめとする全国の神々に対して、人々の幸縁結びを祈る祝詞奏上される。
※神議りとは、オオクニヌシの元で縁結びなどについて話し合いをする会議のこと

御忌祭〜期間中は人々は慎み深く過ごす

神在祭の期間中は、神々の会議の邪魔や宿泊に粗相があってはならないように、周辺の人々は音楽などを慎み、家の建築や増改築を行わないなど、ひたすら静粛を保つようにする。
そのため、神在祭は御忌祭ともいわれる。

神等去出祭〜神々を見送る神事

旧暦10月17日と26日の2回

神々をお迎えする神事があるのだから、お見送りする神事もある。
旧暦10月17日と26日の2回行われる神等去出祭である。

旧暦17日の神事で神々は出雲大社を去る

旧暦17日は、夕刻4時に東西の十九社に祀られた神籬が絹垣に囲まれて拝殿に遷される。
拝殿の祭壇に祀られた2本の神籬と龍蛇神が祀られ、餅が供えられて祝詞が奏上される。
そして、御本殿楼門向かいの門の扉が3回叩かれ、「お立ち〜、お立ち〜」の声とともに神々は神籬から離れ、出雲大社を去るという。
こうして出雲大社を去った神々は、斐川町の万九千神社で直会(宴会)をした後、それぞれの国へ帰るとされる。

旧暦26日、神々が去ったことを大国主神に報告する儀式

そして、26日に神々が出雲の地から去ると、出雲大社では神々が無事帰ったことを大国主神に報告する儀式が行われる。
こうして、全国の神々が出雲の地に集まる一大祭事は幕を閉じるのである。


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