イソタケル 林業の神様

イソタケル、林業の神様

高天原の樹木を日本全国に植えた

スサノオとともに地上に降臨した

イソタケルは、木々が豊富な日本の国土を生み出した国津神(地上に住む神様のこと、対義語は天津神)で、熊野地方で信仰されるスサノオの子神どもである。
『古事記』に名があるオオヤヒコの神と同じであるという説もある。

朝鮮半島をとおって日本へ、ヤマタノオロチ対峙にも協力

『日本書紀』の一書では、高天原を追放されたスサノオは、イソタケルとともに朝鮮半島の新羅のソシモリというところに降臨した。
そして、土船をつくって出雲に渡り、出雲の地を荒らすヤマタノオロチを退治したとある。
イソタケルは日本神話の中では比較的、無名な神ではあるが、その役割は重要な地位にある。

林業、造船、厄除けなどの神様

基本的には「林業の神」として信仰されているが、先に述べたように、、土の船を作り海を渡ったことから「造船」「航海安全」「大漁」の神様としても信仰される。
また、ヤマタノオロチ対峙にあやかっているのか「悪疫退散」「厄除け」など等の神徳もある。

「イソタケル」の呼称が主流だが、別名がも多い

名称だが、「イタケル」「イソタケル」と複数の呼称が伝わっており、イソタケルを祀る神社によってもその呼称は異なる。
しかし、奈良時代以降はイソタケルが主流になっていたと見られ、このページでも「イソタケル」とする。
また、別名として「射楯神(いたてのかみ)」「大屋毘古神(おほやびこ)」「禍津日神(まがつひのかみ)」がある。

神が日本に木々を植え、緑が豊かになった

朝鮮半島(新羅)には木を一本も植えなかったという

イソタケルは高天原の樹木の種を持って天降ったが、新羅の地には植えず、すべて日本の大地に植えたので、日本の国土は青々と繁った山々を持つようになったとされる。

韓国には金銀があるのに日本には船がない、のを気にした

別の一書によると、スサノオは「韓の国には金銀があるが、私の子孫が治めるこの国に浮宝(船)がないのはよくない」といい、体毛を抜いて散らしてさまざまな樹木を生んだとある。
そして、髭からスギが、胸毛からヒノキが、尻の毛からマキが、眉毛からクスノキが生まれると、スサノオは「スギとクスノキは船に、ヒノキは宮殿に、マキは棺桶の材料にしなさい」と教えた。
そして種を蒔いたのは、イソタケルと二柱の妹のオオヤツヒメ・ツマツヒメだったという。

イソタケルのゆかりの地

紀伊国(和歌山県)の伊太祁曽神社

イソタケルは植林が終わると、紀伊国(和歌山県)に渡って鎮座した。
これが和歌山県和歌山市の伊太祁曽神社の創建の由来とされ、イソタケルを主神に妹の二神を配神として祀っている。

紀伊国とは「紀(木)の国」の意

紀伊国は「紀(木)の国」であり、古くから良木の産地として知られ、植林の盛んな土地柄である。
このためイソタケルは林業に従事する人々の守護神として信仰されている。
またイソタケルは神奈川県を中心に多く創建された杉山社のご祭神としても知られる。

イソタケルを祀る神社

伊太祁曽神社、五十猛神社、度津神社、杉山神社などで祀られる。

海外のイソタケルゆかりの地

韓国の島の鬱陵島は、日本側では「五十猛島(磯竹島が正式)」と呼ばれる事もある。


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