平安時代の女性はどんな仕事をして、どんな髪型・化粧をしていたのか?
彼女らの役割やその構成をみてみる。
平安時代の化粧は、黒い髪を際立たせる事を基本としていたようで、白い肌と小さく赤い紅と極端な色合いが好まれた。
『枕草子』によれば、宮中の女性たちは特に儀式の前の化粧に神経を注いだようで、日によって熱意に差があったようだ。
長く黒い髪は平安美人の必須条件だった。
10歳頃から伸ばし始め、長く黒々として光沢があり、分量も適切なのが良いとされ、背丈以上に伸ばした女性もいたという。
『枕草子』によれば、髪の毛が少なかった女性は「かもじ」という地毛の足りない部分を補うための添え髪を使っていたようだ。
宮仕えの女房たちは、後宮が滞りなく運営されるよう、また宮中儀式への方などの仕事を行っていた。
後宮で働く女性たちの仕事は、律令の下でルールが決められており、後宮内には「後宮十二司(こうきゅうじゅうにし)」という12の役所が存在した。
宮仕えをする女性たちには当然、高い教養が要求され、そこには中級貴族ら受領の娘が多く、親の出世の足掛かりとなっていた。
なお、後宮に仕えていた女性は、異性と顔を合わせる機会が多かった事から、時に「はしたない」といったネガティブな印象を持たれる事もあったようだ。
後宮十二司には、宮中で用いる酒や酢などの醸成を行う酒司、武器を管理する兵司、印綬を管理する蔵司、鍵の管理をする闡司、灯火や格子の管理をする殿司、水の管理をする水司などが存在した。(内侍司・蔵司・書司・薬司・兵司・闡司・殿司・掃司・水司・膳司・酒司・縫司)
女房 | 上臈 | 官位:三位以上 職務:中宮の食事の給仕役、髪型・化粧の世話役、中宮を楽しませる役などあり、中宮と直接会話ができた※中宮と会話をこなすには漢詩の知識など教養が求められた |
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中臈 | 官位:四〜五位 職務:女童(中宮や姫君の身の回りの世話をする未成年の女性)や下臈の仕事を監視し、雑用も担当、中宮と直接会話はできなかった |
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下臈 | 官位:摂関家の家司や神社の家の娘たち 職務:下級の女官で後宮十二司に勤務、中宮・上臈とも会話をする機会は殆どなかった |
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その他 | 官位:なし 職務:采女、刀自(老女)、雑仕、女童など下級の女官 |
平安時代の女性の身分は、親の身分によって決められていた。
『源氏物語』に登場する桐壺の父は大納言で、身分は低くなかったが、故人のため後ろ盾がなかった。
このように宮中の女性の立場は状況によって移ろいやすいモノであったようだ。
帝の后 | 中宮 | 皇后(正妻)と同資格を持つ后、女御からの昇格 |
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女御 | 中宮の次位、皇族や大臣の娘がなる | |
更衣 | 女御の次位、大納言以下の娘がなる | |
女官・女房 | 尚侍 | 内侍司(後宮の役所)の長官、摂関家の娘などがなる |
典侍 | 内侍司の次官 | |
掌侍 | 内侍司の三等官 | |
その他 | 後宮に仕える者、貴人、私的に仕える者など | |
斎王 | 斎宮 | 伊勢神宮に奉仕する皇女、天皇の即位ごとに未婚の内親王か女王から選ばれる |
斎院 | 賀茂神社に奉仕する未婚の内親王か女王 |