イギリスで始まった産業革命

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世界経済を変えたイギリス産業革命

世界に先駆けてイギリスではじまった産業革命を通じ、経済や社会の仕組みが大きく変わってゆく。
世界の工場となったイギリスを筆頭に、アメリカや日本などの世界各国もこれを追従し、社会全体は急速に豊かになっていく。
しかし、過酷な労働、安い賃金による貧困層を生み出す結果となり、後の社会主義国家の誕生へと繋がっていく。

産業革命で「世界の工場」になったイギリス

18世紀後半にイギリスで始まった産業革命は、世界を大きく変える事になった。
産業革命とは、機械制工業の急速な発達によって生産性が増し、資本主義社会への移行が進む事である。
この世界経済を大きく変えた産業革命が、イギリスで始まったのには幾つかの理由があった。

イギリスで産業革命が可能であった条件

  • 毛織物などのマニュファクチュア(工場制手工業)の発達や、三角貿易によって資本が蓄積されていた
  • 第2次囲い込みによって農村に余剰人口が生まれ、工場での労働力を提供できた
  • 蒸気機関が改良されて紡積機(ぼうきき)などに利用された
  • 石炭や鉄鉱石など、工業の原材料や燃料となる地下資源に恵まれていた
  • ピューリタン・名誉革命を経て、中世的な商業特権やギルド(職業別組合)が無くなった
  • 北米やインドなどに植民地を得る事で、広大な市場が形成されていた
  • ニュートン力学に代表される近代科学・思想の発達が、技術革新の下地となった

技術・動力・交通の3つの産業革命

これらの条件により、イギリスでは綿工業、機械工業、製鉄業などが急速に発達した。
また、蒸気機関車の発明により、原料や製品が大量に運搬出来るようになり、19世紀半ばに改良が進んだ蒸気船と共に、交通革命をももたらした。
こうしてイギリスは「世界の工場」となり、工業生産において他国を圧倒するようになる。

産業革命が世界中に波及していく

イギリスに始まった産業革命は、ヨーロッパ各国の他、アメリカ、日本にも波及し、世界はイギリスを筆頭とする資本主義諸国と、それに従属する地域に分けられるようになった。
このイギリス中心の世界秩序をパックス・ブリタニカと呼ぶ。

貧富の差が急速に拡大していく

その一方で、産業革命は安い賃金で過酷な労働を強いられる労働者階級を生み出し、貧困層の増大、都市部におけるスラムの形成、公害、犯罪の増加などの社会問題を引き起こした。
そして、それらの改善、解消を目指す社会主義思想が誕生する事となる。

イギリス産業革命がもたらしたもの

産業革命の世界への波及
フランス、アメリカ、ドイツ、ロシア、日本など
資本主義の確立
産業資本家の台頭や、イギリスを世界の工場とした新たな世界秩序「パックス・ブリタニカ」
労働・社会問題の発生
低賃金と労働者の酷使、児童労働や公害等による生活環境の悪化。
結果、労働運動の高揚と、社会主義・共産主義思想の誕生

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