ユダヤ教

2つの「世界宗教」を生んだユダヤ教

ユダヤ教とは紀元前6世紀ごろに確立したヘブライ人の宗教である。
土地を失い、離散しながら、神に選ばれた民として民族の誇りが宗教に込められている。
唯一神ヤハウェを信仰しており、選民思想、メシア思想を特徴とする。

「十戒」から生まれたヘブライ人の教え

ユダヤ教は多神教を否定し、天地を創造したのは唯一の神様だと唱えた一神教の宗教だ。
その始まりは、前13世紀、隷属状態にあったヘブライ人(ユダヤ人、イスラエル人)を率いて予言者モーセがエジプトを脱し、シナイ山で唯一神ヤハウェと契約を結んだという、旧約聖書「出エジプト」の記述である。
このときモーセによってもたらされた「十戒」には、ヘブライ人は神に選ばれた聖なる民であり、「私(ヤハウェ)の他に、何者をも神としてはならない」「私を愛し、その命令を守るならば、子々孫々まで守護する」など、後のユダヤ教の教義と倫理が書かれてあったという。

バビロン捕囚

こうした信仰を中心に、前11世紀、パレスチナにヘブライ王国が建設されたが、前10世紀末にはイスラエル王国とユダ王国に分裂、イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、前586年に住民はバビロニアへ強制移住させられた。

旧約聖書と新約聖書

相次ぐ受難のなか、異郷において民族のアイデンティティを求める為に、唯一神ヤハウェへの信仰を強くし、民族としての結束を固める事で、ユダヤ教は確立された。
ユダヤ教の聖典は、後にキリスト教に引き継がれ、キリスト教徒がまとめた「新約聖書」に対し「旧約聖書」と呼ばれるようになった。

キリスト教とイスラム教を生んだユダヤ教

こうしたユダヤ教の一神教的世界から、2つの世界宗教が分離する形で生まれた。
紀元30年頃、十字架刑に処せられたイエスが復活したという信仰から、後にイエスは神の子で、「旧約聖書」の中で待望されているメシア(キリスト=救世主)であるとするキリスト教が生まれた。
また、7世紀には、ユダヤ教やキリスト教の唯一神をアラビア語で「アッラー」とし、自らを「最終で最大の預言者」としたムハンマドイスラム教を起こした。


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