戦後70年談話

戦後70年談話

中国・韓国との歴史認識問題が外交問題化するなか、国際的に注目を集めた戦後70年談話が発表された。
戦後70年談話は関係各国から多くの評価を受ける事が出来たが、依然、歴史問題は多く残されている。

安倍晋三首相の戦後70年談話

第二次世界大戦終結70周年の前日にあたる2015年8月14日、安倍晋三首相は閣議決定のうえ、いわゆる「戦後70年談話(安倍談話)」を発表した。
日本の首相が第二次世界大戦に関する談話を発表するのは、1995年の「村山談話」、2005年の「小泉談話」に続いて3回目となる。

未来志向の談話で、多くの国から支持を得る

2015年の安倍談話では、中国や韓国などが求めていた村山談話の4つのキーワードである「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「お詫び」を盛り込みながら、過去の談話を継承する事が表明された。
そのうえで、戦争に関係のない世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べ、「積極的平和主義」に基づいて「世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献」していく考えを示した。
この未来志向の談話に対しては、アメリカやイギリス、オーストラリア、フィリピン、インドネシアなどの関係各国政府が評価の意を示し、中国、韓国の政府も強い批判は避けた。

年月を経るごとに尖鋭化する歴史認識問題

この戦後70年談話が注目を集めたのは、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、一部で日本の右傾化の象徴などと見られていた安倍晋三首相だった事、さらには、中国や韓国との間の歴史認識問題が、年を経るにつれ収束するのではなく、ますます尖鋭化し、外交問題となって来た事が理由として挙げられる。

日本が自ら謝罪問題を蒸し返してしまう

歴史認識問題が外交問題化した出発点は、82年の歴史教科書問題に遡る。
この年の6月、日本メディアの誤報に基づいた記事に反発した中国に対し、日本政府は宮沢喜一官房長官が釈明の談話を発表したうえ、鈴木善幸首相が謝罪の訪中をした。
これにより、日本は日韓基本条約や日中共同声明で決着したはずの謝罪問題を自ら蒸し返し、外交問題化させてしまったのである。

その他の事情

さらに、冷戦終結後の90年代に入って、世界的に人権意識が高まった事や、統一ドイツが東欧や旧ソ連圏諸国のナチス被害者に対する個別保証を進めた事も、相対的に日本の対応が遅れているという印象を植え付けている。
そして、抗日戦争が共産党の正統性と結びついている中国や、憲法前文に三・一抗日独立運動で成立した大韓民国臨時政府を正式に付け継いだ国、と記されている韓国では、反日運動が政権の求心力を高めるという側面も無視できない。


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