野菜の歴史

野菜の歴史

野菜は元々、野生の植物の中から、人が食べられるモノを選んで畑で栽培し、品種改良してきたもの。
より大きな果実を持った個体同士を配合して、人工的に栄養価の高い植物、野菜を作りあげたのだ。
では、始めから日本に野生していた野菜の原種、日本原産の野菜とはどのようなモノがあるのか。

日本で産まれた野菜

• アサツキ
• アシタバ
• ウド
• オニユリ
• クロクワイ
• コオニユリ
• ゴボウアザミ
• サンショウ
• ジネンジョ
• ジュンサイ
• シュンラン
• セリ
• ダイコン(諸説あり)
• タデ
• ツルナ
• ニラ
• ハマボウフウ
• ヒシ
• ヒユ
• フキ
• マコモ
• ミツバ
• ミョウガ
• ヤブカンゾウ
• ヤマユリ
• ラッキョウ
• ワサビ

この他にもナズナやミズアオイなどは古代から江戸時代まで栽培されていたが、現在では野生に帰り雑草となっている。
大根の原産地に関しては諸説あるので注意が必要。

日本における野菜の歴史

文明が出来る前の野菜

フキやウド、ミツバなどのように日本原産の野菜も存在するが、現在、我々が口にする野菜の殆どは海外で品種改良されたモノである。
野菜の移入の歴史は古く、すでに縄文時代の福井県鳥浜貝塚遺跡からは、ゴボウ、カブ、アブラナ、リョクトウ、エゴマ、シソなどの種子が出土しており、栽培されていた事が分かる。
つまり、弥生時代前の稲作伝来以前からすでに農耕が開始されており、縄文時代には既に農耕が始まっていたのだ。
カブやアブラナは地中海沿岸、エゴマやシソやリョクトウはインド原産であるため、かなり広範囲で野菜が流通していた。
1世紀頃までにはゴマ、サトイモ、ニンニク、ラッキョウ、ヤマイモ、トウガン等がが既にに伝来している。

古代大和王権時代の野菜

古墳時代にはナス、キュウリ、ササゲ、ネギが伝来した。
古事記や日本書紀にはカブやニラの、万葉集では水葱（なぎ、現代のミズアオイやコナギ）やジュンサイ、ヒシ、セリ、瓜（マクワウリ）などの記述がある。
また、現代ではあまり野菜としては使用されない水葱や羊蹄（しのね、現代のギシギシ）なども使用されていた。

江戸時代以降の野菜

江戸時代に入り、平和が続き経済が成長すると野菜の需要も高まり、特に一大消費地である江戸周辺・関東地域では大量の野菜が栽培され、日本各地へ運び込まれるようになった。
小松菜や練馬大根などのように、地名をつけブランド化する野菜はこの時期に産まれたものだ。
こうした傾向は江戸に限ったことではなく、京野菜や加賀野菜をはじめ、各地で特色ある野菜が開発され定着したのも江戸時代の事であった。
開国後、明治時代に入ると、タマネギやトマト、キャベツをはじめとする西洋野菜が多く流入し、日本の野菜はより多様なものとなった。

世界の野菜の歴史

現代、世界で栽培される野菜の多くは、中国、インドから東南アジア、中央アジア、近東(ヨーロッパから見て東にある国々の内)、地中海沿岸、アフリカ(サヘル地帯及びエチオピア高原)、中央アメリカ、南アメリカのアンデス山脈の8地域を起源としている。
これらの地域は農耕文明の発祥地と重なっている。
また、もともとの生息域が広く、栽培化地域が複数にまたがっている野菜も多い。
中国においてはハクサイ、ネギ、ゴボウが、インドから東南アジアにおいてはキュウリやナス、サトイモ、中央アジアではダイコン、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、ソラマメなどが栽培化されている。
近東地域ではレタスやニンジンやタマネギが栽培化されている。
地中海岸は野菜の一大起源地であり、キャベツやエンドウマメ、アスパラガスやセロリが栽培化されている。
アフリカのサヘルからエチオピア高原にかけては、ササゲやオクラなどが栽培化された。
中央アメリカにおいてはインゲンマメやサツマイモ、カボチャが栽培化された。
南アメリカ・アンデスにおいては、トマトとジャガイモ、それにトウガラシやピーマン、カボチャの栽培化が行われた。
こうした中心地のほか、世界各地で野草採集から発展した独自の野菜が栽培されており、各地独特の食文化の重要な要素となっている。

野菜、果物の今と原種

人類が品種改良の義務を持つ野菜や果物。
慣れ親しんだ植物が品種改良を行う以前の「先祖」の見た目と今を比べてみよう。
今の食品たちがどれだけ成長した科が良く分かる。