モモ(桃)

モモの歴史

日本においてもモモには古い歴史があるが、モモは中国が原産で、中国から世界各国に広まった。
中国での言い伝え、日本を含めた世界での歴史がモモにはある。
日本と中国におけるモモの歴史をみてみる。

モモの花

モモの花

中国におけるモモの歴史

非常に長いモモの歴史

モモの栽培の歴史は非常に古く、中国では2500年程前から栽培されていたようだ。
孔子が書いた書物『論語』にもモモの名前が記述されている。
誕生したてのときは"毛毛(モモ)"という名のとおり、硬い果肉の表面がたくさんの毛で覆われているもの。

モモの果実

モモの果実

モモは不老長寿の力を持っていた?

また、中国では、このモモから"桃の節句"が誕生した。
桃は『西遊記』の主人公、孫悟空が食べたことでも有名。
昔、中国で桃はただの果物ではなく、特別なものとして見なされていた。
それは、桃源郷の不老不死の"仙果(せんか)"として考えられていた。
現在でも、中国では結婚式などの祝いに、モモの形をした饅頭を食べる習慣が残っている。
モモの厄除けのちからは、広く人々に浸透している。

『西遊記』孫悟空と桃

『西遊記』の中で、孫悟空が任された仕事は3600本の桃の木が植えられている桃園の管理。
手前にある1200本の木になった桃を食べると、3000年に一度仙人になれて、真ん中の1200本の木の桃を食べると、今度はずっと年をとらずに、命を落とす事もない…。
そして、一番奥の1200本の木の桃を食べると、天地があらんかぎり生き長らえる、と言い伝えられていた。

日本における桃の歴史

モモの渡来時期

モモが日本に伝わった時期に関してはハッキリとは分かっていない。
日本最古の書物『古事記』によれば、モモはイザナギによって死者の国「黄泉の国」から持ち帰ったとされている。
少なくとも日本神話によればモモは“日本ではない所”からもたらされたとある。
長崎県の多良見町にある伊木力遺跡から、縄文時代前期の桃核が出土しており、これが日本最古とされている。
弥生時代の遺跡からも、野生のモモの種子が出土しており、縄文時代前期にはモモがもたらされていたようだ。
恐らく『古事記』の編纂者らは、「モモは海外からもたらされた」事は知っていたが、いつ渡来してきたのか?までは知らなかったのだろう。

モモの花

モモの花

古代

なお『古事記』では、イザナギがモモを投げつけることによって鬼女、黄泉醜女を退散させたとある。
モモには魔除けの力がある、と古来から考えられていたのだ。
万葉集にはその花の美しさを愛でた歌がある。
10世紀初には、諸国から桃の種子が天皇に献上された事が分かっている。

モモの花

モモの花

平安〜江戸時代

モモは平安時代(もしくは鎌倉時代)には既に水菓子(果物)として食べられていた。
しかし、当時のモモは今のようにそれほど甘いものではなかったため、花の観賞用または薬用のものとして使うことのほうが多かったようだ。
江戸時代には花の観賞用にモモが栽培されるようになった。
そして開国後(明治時代)、強い甘さが特徴の水蜜桃が輸入されるようになり、モモが積極的に食べられるようになっていく。

モモの花

モモの花

明治以降

明治に入ってから、モモの本格的な栽培が始まった。
明治32年には桃作りに情熱を注いでいた大久保重五郎が新種の"白桃"を発見し、それが岡山特産の白桃のルーツとなった。
大久保重五郎は"明治の桃太郎"とも呼ばれており、それ以来、次々と新種のモモが誕生した。

大久保重五郎の桃

大久保重五郎は、自分で見つけた新種のモモを"大久保"と名付ける。
この"大久保"が日本の白桃の歴史を大きく発展させた。
"大久保白桃"をはじめ、白桃の多くはやわらかい果肉が特徴で、日本のモモ独自の特徴とも言える。

海外における桃の歴史

中国で誕生したモモは、シルクロードをたどり西域へ出て、ペルシャへと伝わった。
1世紀ごろには古代オリエント一帯とギリシャ、ローマにも伝わっている。
17世紀にはアメリカ大陸にまできた伝わったといわれ、中国からヨーロッパへと伝わったモモの果肉は品種改良が重ねられて、黄色に変化していった。

モモにまつわる文化・風習

桃の節句「旧暦3月3日」
中国では、モモの木には体の中の悪いものを取り除く力があるとされている。
モモに魔よけの力があるという風習が日本に伝わり、ひな祭りのときにモモの花が使われる様になった。
桃太郎伝説
桃太郎の話は鬼退治で有名だが、この鬼とは「厄」の事を指すという説がある。
モモには霊力があると昔から考えられている為、邪気「厄」を祓うために、桃を使った話が生まれたという説がある
百手祭り
節分には、モモの枝で作った弓で、葦の矢を打って鬼を祓う儀式が伝わっている神社がある。
百手祭りの原形ではかも知れない
雛祭り

雛祭り


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