正月と年越しのしきたり

正月と年越しのしきたり

昔から年末年始は、新しい年の無病息災を願い、沢山の福を招き寄せる為の習わしが数多くあった。
それらの多くが今でも引き継がれているが、その由来や理由は忘れ去られてしまっている。
年末年始のしきたりにどんな意味が在るのか見てみよう。

知っておきたい年末年始のしきたり

大祓
12月の晦日に神社で行われる大祓で、茅の輪をくぐって半年間の穢れを祓う
歳暮周り
お世話になった人への挨拶まわりで、この行事が転じて歳末の贈り物の習慣となった
年の市
正月飾りなどが売られる年末の風物詩、一年に稼いだ金を使って福を呼び込む意味もある
正月飾り
正月飾りは12月28日までに飾ること、29日では「苦」に通じ、31日では一夜飾りとなる
お屠蘇
正月に呑むお屠蘇は「邪気を屠り、死者を蘇らせる薬」とも云われ、若い順にまわし飲む習わしがある
回文と初夢
枕の下に回文を書き加えた七福神の絵を置くと、良い初夢が見られるという
羽根つき
「子供が患わない」というまじないでもある正月遊び
恵方
歳徳神(年神様)が降りて来ると云われる方角
門松と鏡餅
歳徳神(年神様)の依り代となる正月飾り
初詣
初詣はもともと先祖神である氏神や地元の産土神に挨拶をする風習
お守り
社寺で頂くお守りの袋に入っている小さなお札は神仏の分身
参道
神社の参道を歩く際は、正中を避けて左右に寄ること(真ん中は神様の通り道)

歳徳神をもてなし「福」を頂く

正月は歳徳神(年神様)をお迎えし、除災と幸福をお願いする日として信仰され、行事化されてきた。
つまり、正月は歳徳神に美味しいモノを食べていただいてもてなす期間とも言える。
歳徳神を親戚の人の様に迎え入れ、皆で楽しく過ごそう。

歳徳神とは

歳徳神とは、陰陽道におけるその年の福徳を司る神様のこと。
由来に関しては殆ど分かっておらず、牛頭天王の后の頗梨采女であるという説、その牛頭天王と同一視された須佐之男尊の妻の櫛稲田姫であるという説もあるが、どれも明確な根拠はない。

大掃除【邪気を祓って歳徳神をお迎え】
宮中では12月13日に「煤払い」を行い、この日から精進潔斎(身を清めて特別に作った料理を食べ、御籠りをする)し、物忌みを行った。
それにより邪気が祓え、歳徳神をお迎えする事が出来たわけだ。
これが一般化したものが現在の大掃除の習慣である。
家庭では精進潔斎はムリでも、神様を迎える場所はキレイにしておこう。
注連飾り【家庭に厄が入りこまないように】
注連縄は神社においては神域と俗界の結界の意味を持ち、そこから先を神域として厄を祓う意味もある。
つまり、注連飾りには、家庭に厄が入り込まないようにする役割がある。
こうした正月飾りは松の内と呼ばれる1月7日、あるいは1月15日まで飾り、取り外したら、神社など、地域ごとに行われるどんと焼き(左義長)に持って行って焼いてもらうとよい。
門松【歳徳神に降臨してもらう依り代】
日本では古来から神は木や岩などの自然物に降臨すると信じられてきた。
その際に神が降りるモノを「依り代」と呼び、門松も歳徳神に降臨してもらう為の依り代である。
その家が神様を迎える準備ができているかどうかの目印となるので、実物を飾る事が出来ない場合、門松の絵を描いたお札を扉に貼るなどしよう。
年越しそば【細く長く 厄を断ち切る】
蕎麦は切れやすいため「厄を断ち切る」、また「細く長く」の願いが込められているという。
また「金や銀の細工職人がお正月休みになる際、床に散らばった小さな金銀の破片を、そば粉を練って丸めた物を使って集めた。そして、その蕎麦を食べた」事が由来であるとも云われ、そこから金運を上げようという縁起担ぎが込められているとも。
鏡餅【五穀豊穣を司る歳徳神への捧げもの】
鏡餅は三種の神器を模していると云われる。
丸い餅が八咫鏡、餅の上に飾る橙が八尺瓊勾玉、地方によっては飾る串に数個の夏季を刺して干したモノが天叢雲剣。
また、餅は米から作られるので、五穀豊穣を司る歳徳神への捧げものでもあり、依り代でもある。
おせち【歳徳神へのおもてなし】
「おせち(お節)」は、古くは節分(季節と季節を分ける日。立春や立秋などの前日)に、神人共食と呼ばれる特別な食事を行った。
神人共食とは、神様と人が一緒に食事をする事で、各家庭に降臨した歳徳神をもてなす意味がある。
また、料理それぞれにも意味が在るとされる。
御雑煮【神様への捧げものを分けて頂く】
もともとお雑煮の餅は「神様への捧げものである鏡餅を分け与えて頂く」という意味があり、お雑煮に使う餅は鏡餅の物を使うのが本来の習わしである。
また、祝箸と呼ばれる両端が細くなり先端が二つ在る箸があるが、これは神様と人間が同時に一つの箸を使うという意味がある。
おせちやお雑煮を食べるときは祝箸を使おう。

縁起を担ぎ「福」を呼び込む

初夢【一年の無事を祈って善い夢を】
初夢とは1月1日〜2日、2日〜3日の間の夜に見る夢。
室町時代ごろから、縁起のよい初夢を見るためには、枕の下に宝船に乗った七福神の絵を入れて置くと善いと云われている。
これは、七福神参りに行った際に、神社などで授与していただけることが多い。
「一富士二鷹三茄子」とも云い、富士、鷹、茄子の初夢が見れるとなお縁起が良い。
初日の出【心身を浄化】
太陽は、神道においては天照大神の象徴、仏教においては大日如来の象徴。
年のはじめに上る太陽の光を浴びて、心身が浄化し、大きなパワーを期待しよう。
初日の出の習慣は日本古来のもので、江戸時代には江戸で盛んに行われ、全国では明治以降に盛んになったと言われている。
書き初め【上手下手より文字を書くこと自体が大切】
書き初めも元々は宮中儀式であったが、江戸時代以降に庶民にも広まった
若水で墨を摺り、恵方に向かって詩歌を書く習慣があり。書く詩歌は「長生殿裏春秋富 不老門前日月遅」という漢詩がよく用いられた。
上手下手より、書く事そのものに意義が在り、何を書くかが大切。

心身を整え「福」を引き寄せる

七草粥【正月のご馳走に疲れてしまった胃腸を整える】
1月7日に春の七草や餅などを塩味のお粥に入れて食べる風習で、春の到来を祝い一年の無病息災を願う。
原型は中国から伝わり、行事としては平安時代には行われており、室町時代の汁物の原型ともされる。
また正月の祝膳や祝酒などのごちそうで疲れた胃腸を休めるという意味もある。
七草の種類は諸説あるがスズナ、スズシロ、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザがよく知られる。
正月遊び【かるた 羽根つき 凧揚げ 福笑い】
動いて、笑って、心身ともに健やかに

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