サルタヒコ

サルタヒコ

サルタヒコ(サルタヒコノカミ)は、日本神話における神で、『古事記』および『日本書紀』の天孫降臨の段に登場する。
天孫降臨の際に、アマテラスに遣わされた天孫ニニギを道案内した国津神。
伊勢国五十鈴川のほとりに鎮座したとされ、中世には、庚申信仰や道祖神と結びついた。

天孫ニニギを出迎えた交渉の神

天之八衢でニニギを出迎える

サルタヒコは、天孫ニニギの天下りの物語である天孫降臨神話で、重要な役どころを演じる神だ。
アマテラスの命により、地上統治の為に高天原を出発したニニギの一行は天之八衢(あめのやちまた:天と地の境にある複雑な岐路)に至るが、そこには異様な風貌の神が待ち構えていた。

天孫一行を道案内する神

身の丈は2メートル以上、鼻は1メートルを超える長さで、両目がホオズキの実の様に赤く光り輝いている、という怪異な神を不審に思ったニニギは、女神アメノウズメを遣わして素性をただす。
するとその神は「私は天孫一行を地上まで案内する為にお迎えに上がった国津神です」と答えた。
この神こそがサルタヒコで、先導役を許されたサルタヒコは無事にニニギ一行を九州の高千穂まで導く任務を全うした。

人生・仕事における導きの神

この神話にみられる導き・道ひらきの神徳から、サルタヒコは旅行や交通安全を司る神として信仰されるのと同時に、万事を良い方向に導く神として、またあらゆる交渉事を成就させる守り神として、商売の世界でも篤く信仰を集めている。
商売に限らず生きていると様々な決断を迫られる場面に出くわすが、サルタヒコは人生の難所を切り抜ける道へ導いてくれる神でもあるのだ。

伊勢の地に鎮座する猿田彦神社

またサルタヒコは伊勢国の五十鈴川上流に居を構えていたとされるのだが、後の時代、アマテラスを祀る場所を探して各地を巡っていたヤマトヒメは、サルタヒコの子孫・大田命(オオタノミコト)に五十鈴川流域を案内された事で同時にアマテラスを祀る事を決め、伊勢神宮が創建されたという伝説も残されている。
道案内の神の面目躍如である。

猿田彦神社

現在、サルタヒコは、本拠地とされた五十鈴川上流の猿田彦神社で、子孫の大田命と共にお祀りされている。
同社の神職・宇治土公家はその子孫とされ、伊勢の式年遷宮で重要な役割を担う「玉串大内人」という役職を代々務めていた。
かつての社殿跡地には、サルタヒコの神徳を象徴する方位盤を刻んだ石が置かれ、社内には本居宣長が参拝した際に残した墨跡なども残されている。

表記

『古事記』では猿田毘古神・猿田毘古大神・猿田毘古之男神、『日本書紀』では猿田彦命と表記する。


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