将軍の食事

将軍の食事

将軍様はどんな物を食べていた?

将軍の食生活は、一般庶民の食事とは、かなり違っていた
将軍は、庶民がとても口に出来ないような、高価な甘いお菓子や、日本各地から献上される山海の珍味を食べる事が出来た。
しかし、意外に将軍の食卓は不便で、普通に食べたいものが食べられなかったという。

意外に不便な将軍の食卓

将軍は高価な物は食べられるのだが、炊き立てのご飯や、熱々の汁物などは食べられなかったという。
将軍が口にするご飯だが、普通に炊いたものではなかったのだ。
蒸し飯」といって、米を沸騰したお湯に入れ、釜で蒸したもので、お世辞にも美味しいとは言える物ではなかった。
それに、将軍が口にする以上、毎食毒見を行う為、将軍のところに運ばれた時には、料理は冷めてしまっていたのだ。

食べ物にも格があった?

将軍には、儀礼的に食べられない物があった。
将軍様の前では、全ての食べ物にも格が与えられ、格下の食べ物は「以下物」といい、どれだけ美味しかろうと、将軍の食膳には、決して並ばなかった
「以下物」には色んなものがあり、例えば魚類では、サンマ、イワシ、フグ、マグロなどがあった。
落語に「目黒のさんま」というものがあるが、これはサンマが「以下物」であり、普段は将軍の目に触れる事のないものだったか成立する噺である。
以下に食べられた物と、食べられない物を一覧で記す。

将軍が食べられない物

魚類
サンマ、イワシ、フグ、マグロ
海藻
ヒジキ、ワカメ
貝類
アサリ、シジミ
野菜
ネギ、ニラ、ラッキョウ、カボチャ

等の、庶民が普段食べている物の多くが、将軍は食べられなかったのである。
なお、アワビハマグリ沢庵などは将軍も食べる事が出来たようだ。

将軍の料理は沢山作られる?

将軍と御台所の料理は、毎回10人前作られていた。
万が一、将軍が毒を盛られるような事があってはならぬよう、毒見の為に多めに作られるのだ。
2人前は毒見用だが、残りの7人前が「次の間」に置かれ、1人前だけが将軍の前に出される。
残りの予備はお代わりの為に用意された物との事。
しかし、将軍が箸を付ける事が出来るのは二膳目まで。
三膳目以降は作法により箸が付けられなかったという。

料理を沢山作る理由

毒見するにしても、作りすぎに感じる。
これには当然、理由があった。
万一毒を盛られても、沢山作る事によって、それが将軍の口に入る確率を下げる狙いがあったのだ。


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